虚構と現実



二次創作において、商標家紋を扱う際には四つの方面(商標権利者、原作企業、一般人、子孫)に対する配慮が必要である。

しかし、本来、二次創作とは原作企業の黙認の下で一般人の目を避けつつ行うものの筈だ。

原作が歴史を元に作られた物であっても、その世界観や設定、キャラクターなどはフィクションである。フィクションの二次創作なのだからその内容もまたフィクションであることは言うまでもない。

ならば、虚構のキャラクターと実在の人物を混同して考えることは間違っているのではないだろうか。歴史物の二次創作は虚構であり、書き手も読み手も第三者も虚構と現実の区別はついている筈である。(虚構と現実が区別されていなければ歴史小説など存在しないだろう)つまり、本来ならば、きちんと住み分けがなされているのだ。

しかし、家紋を使用することによって、虚構の世界にあったものが現実の世界に近付くことになる。なぜなら、家紋は単なるデザインではなく、実在の人物を想起させる物だからである。(商標家紋なら更に別の企業も想起させてしまう)

虚構から現実へと近付いてしまった以上、管理を厳しくするのは当然だ。同人というコミュニティの外に出さないように、より気を配る必要があるだろう。そう考えると家紋は安易に使用すべきではない。各方面に配慮ができないなら、使ってはならないのだ。


また、虚構と現実の境界を越えてしまうようなケースもある。
商標権者に許可を取りに行ったり、モデルとなった人物の子孫に同人誌を送り付けたり、史跡でコスプレをしたり、といった行為である。
このような行動は明らかなルール違反である。

虚構と現実の境界を越えてしまえば、虚構にも現実にも受け入れられなくなってしまうだろう。虚構の世界に身を置きたいのであれば、虚構の中だけで楽しむべきである。

逸脱した行為によって虚構世界そのものがなくなってしまうこともあるのだ。それは誰もが望まない結末の筈である。


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